亡くなった人の霊を祀るための儀式、「お盆」の時期が近づいてきました。お盆休みに実家に帰りお墓参りなどする方も多いのではないのでしょうか。
お盆には、時期が3つもあることを知っていましたか?
ご先祖様の霊を迎えるためのお飾りの、キュウリで作った馬・ナスで作った牛の意味分かりますか?
今回は、お盆の雑学について説明します。
今さら聞けないお盆の雑学
お盆の正式名称
お盆は正式には盂蘭盆(うらぼん)といい、サンスクリット語(古いインドの言語)のウランバナ(ullambana)を漢字にあてはめた言葉で、「倒懸(とうけん、逆さ吊りになったような苦しみ)」という意味です。
釈迦(しゃか)の弟子の目連(もくれん)が、亡くなった母が地獄で「逆さ吊り」にされ、飢え苦しんでいるのを救うため、釈迦に相談すると「雨期の学習期間(安居、あんご)を終えた7月15日に仏と僧に供養すれば(この場合は食物を捧げること)、死んだ父母の苦しみを救うことができる」と説かれた。この、子による父母の救済の教えが「盂蘭盆」の始まりとされています。
お盆の時期は、地域によって3つの時期がある
「7月盆」7月15日頃 関東の一部
「8月盆」8月15日頃 全国的に多い
「旧盆」旧暦の7月15日頃(2016年は8月15~17日)沖縄など
どうして「お盆」の時期が3つもあるのか?
1872年12月2日まで使われていた旧暦が、翌日に、新暦に切り替えられた時(1873年1月1日となり)、全国各地域で対応の違いがあったからです。
「7月盆」→「新暦重視型」
新暦にのっとり、以前のお盆の日程をそのまま使った。
結果として、以前より早い時期にお盆を迎えることになった。特に東京では「天皇のお膝元」ということで、政府の決めた新暦に従おうという意識があったそうです。
「8月盆」→「折衷型」
新暦に変更はするが、もとのお盆の時季になるべく合わせるため、日程を1か月遅らせた。
地域によっては、いったんは「7月盆」にしたものの、「梅雨空のお盆ではご先祖様に申し訳ない」などの理由で、8月になったそうです。
「旧盆」→「旧暦重視型」
沖縄では「お盆」はご先祖様のための大切な行事となっているため、新暦に変更せず、旧暦の7月15日をお盆とした。
「お盆」の他にも行事のほとんどを旧暦で行うので、沖縄のカレンダーには旧暦が入っているのが売られています。
暦は政府によって変えられたものの、実際には行事によって、旧暦と新暦が長く使いわけられてきました。
「お盆」にしても、現在の新暦「8月盆」が全国的に定着したのは、戦後になってからです。
盆棚・精霊棚(しょうりょうだな)
お盆の入る前日に、ご先祖様の霊を迎えるためのお飾り「盆棚・精霊棚(しょうりょうだな)」を設けるご家庭が多いと思います。
盆棚・精霊棚(しょうりょうだな)で印象的なのが、「キュウリで作った馬」「ナスで作った牛」「ホオズキ」です。
それぞれに意味があります。
キュウリで作った馬
ご先祖様の霊が馬に乗って、一刻も早くこの世に帰ってくるように、という願いを込めたものという意味があります。
ナスで作った牛
歩みの遅い牛に乗ってゆっくりとあの世に戻っていくようにという意味があります。
ホオズキ
ホオズキの実はちょうちんの形をしているので、お盆にご先祖様の霊が帰ってくる時の道を照らす灯りの役割という意味があります。
盆祭り
夏休みに行われる町内などの行事というイメージが強いですが、本来は宗教行事の一つです。
お盆に帰ってきたご先祖様の霊たちを迎え送るための、念仏踊りとして始まった宗教行事で、誰もが参加でき祖先への思いを馳せ供養するための踊りです。
まとめ
いろいろと知らなかった雑学が、あるのではないのでしょうか?
これで子供に質問されても、答えられますね。